縞柄の着こなし
縞の着物は「粋の真髄」と言う人があります。極めれば、それだけ奥が深いということは確かですが、麻や綿の普段着から格式の高い江戸小紋や男物の袴まで幅広くあります。そう思えば、取り分け難しく考える必要はないかも知れません。いずれにしても、着こなしのポイントは、対比調和のバランス感覚が大切です。
きりりと締まった直線模様に、くっきり浮かぶ帯の色。渋味の中にも、まろやかな風情が漂います。幾何学模様の縞柄には、花鳥柄の帯なら無難に乗ります。優しい雰囲気なら染名古屋。格が欲しければ箔の九寸帯。黒の羽織を羽織れば色無地と同格になります。お洒落に着るなら博多の八寸帯でしょう。縞を着れば、下半身は直線的でスラーッと見えます。反面、上半身は衿足からバスト、そして腰へと体のカーブが強調されて色っぽく感じます。ストライプが柔らかい女性特有のボディラインの美しさ「艶やかさ」を引き立ててくれるのです。
縞は、着物ばかりではありません。縞の羽織は格調高く、時にお洒落です。大島紬に博多帯。そして縞の羽織がそろえば風格も出ます。昔は、粋なお師匠さんの定番でした。惜しげもなく着尺を断ち切り羽織にしたものです。弟子は、師匠の域には、なかなか到達できないものの、羽織を着る日をいつか夢見たものでした。(資料:着こなし入門講座)