初等科7.2.3 美学への誘いⅲ

写楽では、過去の日本の芸術はどうでしょうか。ことさら西洋の哲学的な見地に立たなくても、すでに江戸時代の浮世絵の中に、同様の作風が(うかが)えます。写楽(しゃらく)の絵からは、美しさと言うより、歌舞伎(かぶき)役者の迫力、情念、そのような気概(きがい)が強く伝わってきます。

夢二大正浪漫(たいしょうろまん)のきものの特徴は、大胆な構図の中にも抑制された色彩で渋目に染め上げられます。豪華絢爛(ごうかけんらん)でもなく、また、上品さだけを追い求めたものでもありません。夢二(ゆめじ)のきものからは、けなげで刹那的(せつなてき)、どこか(さみ)しさを覚えます。

浪漫(ろまん)主義においては、それまで古典主義において軽視されてきたエキゾチスム・オリエンタリズム・神秘主義・夢などといった題材が好まれました。それまで 教条(きょうじょう)主義によって抑圧されてきた個人の感情、「憂鬱(ゆううつ)」・「不安」・「動揺」・「苦悩」・「個人的な愛情」などが大きく(あつか)われたと言われています。

初等科7.4.1
初等科7.4.2
初等科7.9.
初等科9.3.
初等科10.3.1
初等科17.15.2
初等科17.15.3
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