結城紬の魅力は、外見上の見栄えより、何といっても体感的な着心地にあります。軽くて丈夫な生地の持つフィット感は、結城紬特有の味わいですが、まさに別格です。その秘密は、繭の真綿から一本一本紡いで取れる手引き糸にあります。手先で細かく選別しながら紡がれる糸には、ふんわりとした空気が含まれますが、それがそのまま感触として残っているかのようです。この結城紬は、すべてを手仕事で行う重要無形文化財にしてされている「にじり機(旧名いざり機)」ではなく、力織機によって織られていますが、結城紬の持つ本来の着心地を十二分に味わえる作品といえるでしょう。