お洒落着として着る大島は一般には袷の長着、つまり、胴裏・八掛の裏地を付けて春・秋・冬に着ます。帯は、 まずは博多帯。続いて、塩瀬や縮緬の染め帯、すくいの名古屋帯、お洒落用の袋帯などを結びます。素朴な柄、粋な柄の多い紬の中で大島は、気品と豪華さを併せ持つ特異な存在です。昭和中期から後期にかけて、合わせる帯や羽織は、高級品のすくいの帯や真綿の帯、そして、豪華な総絞りの羽織と相場が決まっていました。それほど大島には街着や普段着でありながら、また、そうであるからこそ容易く手に入れることのできない女の宝物としての憧れがあったのです。今でも、帯は博多帯、染帯、そして、お洒落用の袋帯などを締めますが、羽織はローケツ、縞、更紗など、お洒落感のある柄を長羽織として着られています。
袷の白大島は、夏以外なら自由に着られますが、春から初夏にかけ、まばゆい光の中での着姿は、「きもの通」ならずとも清々しく、強烈な印象に感嘆させられます。1月~3月は袷の羽織、温かい地域なら単衣の羽織でも良いでしょう。4月~5月、10月なら透け感のある絽や紗の羽織が素敵です。
夏大島は上級者向きですが、5月の連休明けから9月の秋分の日ころまで着られれます。帯は、紗か羅の名古屋帯、または、紗の袋帯を合わせます。もちろん帯〆帯上も夏物です。夏の薄物は、伝統的な衣更えでは7月~8月の限定ですが、温暖化した現代や海外生活では必ずしも「月による衣更え」は適当とは言えません。お洒落物の着物では、体感値を基準にした「気温による衣更え」を推奨しています。
資料:きものカルチャー研究所「着こなし入門講座」