ひと昔前まで、和服で外出するときは「替(か)え足袋(たび)」を持っていました。よそのお宅にお邪魔(じゃま)したとき、お座敷(ざしき)を土や埃(ほこり)で汚さないように綺麗(きれい)な足袋に履(は)き替(か)えるのが礼儀とされていたのです。今でも清浄(せいじょう)な茶室(ちゃしつ)では「替え足袋」に履き替える習慣が残っていますが、そのようなことから「足袋入(たびい)れ」、「替え足袋」が必需品(ひつじゅひん)だったわけです。現代和装では、「替え足袋」の代わりに「足袋カバー」を履く人が多くなりました。「足袋カバー」は足袋の上に重ねて履きますが、よそのお宅に上がる前に脱(ぬ)いであがります。畳の部屋では、スリッパは履けません。汚れた足袋は、やはり、せっかくの和服のイメージを損(そこ)ないますので心したいものです。