初等科7.1. 美意識が現れる

認定式きものは、世界が認める美しい民族衣裳のひとつです。そのことは、今や誰もが疑う余地のないところでしょう。世界を席巻(せっけん)した日本の電気製品、自動車、和食、そして、アニメーションなど。メイドインジャパンへの高い評価は、そのままきものへも向けられています。しかも、きものは民族衣裳であると同時に、世界で一番美しい「ファッション」であると思えてなりません。

世界一のファッションなら、そう簡単に習得できるものではありません。そう簡単に着こなせるハズなどないのです。でも、こう解説されると少々戸惑われるかも知れません。「簡単に着られるようになりたい」「すぐに楽しみたい」そう思っていた矢先、いきなりハードルが高くなり、ゴールが遠のくからです。しかし、心配いりません。過去の先人たちが、子供のころから慣れ親しみ、知らず知らずのうちに興味がわき、いつの間にか良きお手本となったように、必ず身につきます。講義や実技においても、きものには、それだけの楽しみや魅力があるからです。

単にきものを着ること自体、すなわち着付そのものは、そう難しいことではありません。しかし、きれいに着たり、魅力的な装いとして評価されるためには、学習と経験が欠かせません。きものは、ただ着れば良いというものではなく、基本的な約束事(TPO)を守り、帯、帯〆帯上、羽織、長襦袢、草履、バッグに至るまで、色柄・格式・季節感などに気を配りながらコーディネートに細心の注意を払わなければなりません。つまり、「美しい装い」には着付技術、きもの知識、きものセンスの三要素が必要ですが、「美しさ」は直接求めて得られるのものではなく、感性と知性を磨くことによって実現されるものなのです。言いかえれば、着る人の「美意識」が外面に現れるのです。

衣服、食品、住居、電気製品、車、身の回り品などに、高い性能や信頼性を求めることは当然ですが、それらの製品にも「美しさ」がますます大切な価値となりつつあります。そのことを考えれば、今や「美」が重要な課題であることは明らかです。あらゆることが 哲学を要求する、私たちはそんな時代に生きています。

初等科7.2.1
初等科7.2.2
初等科7.2.3
初等科7.4.1
初等科7.4.2
初等科7.9.
初等科9.3.
初等科10.3.1
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